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括り糸

久留米絣の糸は柄を計算して括られた後に染色されます。
括り用の糸は織る前に糸束から外されますが、その糸を「括り糸」と呼びます。
写真は下側が染色後の絣糸、上に乗っているのが解かれた括り糸になります。

以前は廃棄されていた括り糸ですが、近年では再利用が進んでいます。括り糸を織り込んだ絣の生地もよく見かけます。また、ニットやアクセサリーの素材としても活用されています。
しっかりと糊付けされ、括りや染色や洗いの現場をくぐり抜けてきた括り糸はランダムな色合いや独特のうねりを残しており、括り糸を用いた製品は「計算外の」面白さがあります。

デザインから染め、織りまで緻密な計算に計算を重ねて作られる久留米絣の世界において、計算できないトリックスターが括り糸です。サステナビリティの観点からはもちろん、その存在の面白さ自体への注目が、今後高まってくる予感がします。

© 2024 久留米絣協同組合|重要無形文化財「久留米かすり」の歴史と伝統