【絣の柄】11
・矢絣 青と白の二色で構成された矢絣。矢絣は、染め分けられたタテ糸を巻き取る時にずらして矢羽の形を作る、タテ絣の基本の柄の一つです。 矢羽の模様には魔除けの意味があるとされ、江戸時代には大奥や武家屋敷の御殿女中が、明治、大正時代には女子学生たちが矢絣の着物を愛用していました。 リズミカルな色と形の中に想いや歴史が潜んでいて、絣の奥深さに触れることができる一枚です。
【絣の柄】10
・花 淡い色で軽やかにデザインされた白い花。雛菊か、白のガーベラでしょうか。 一見シンプルに見えますが、雄しべの部分の黄色は糸染めの後に追加された差し色で、以前ご紹介したつまみ染めの手法が用いられています。 さらにヨコ糸は、ニ段ごとに白の糸が配置されたボーダーになっており全体の色味を爽やかな印象にしています。 作り手の細かい工夫が感じられる一枚です。
【絣の柄】09
・麻の葉 丈夫ですくすくと伸びることから、子供の健やかな成長を祈る柄として伝統的に用いられてきた麻の葉。魔除けの意味もあるとされています。 久留米絣では白の糸を染めて柄づくりを行うことが多いのですが、こちらの生地の場合は黄色に染めた糸を括り、さらに濃いグレーに染色しています。
【絣の柄】08
オーナメント クリスマス近くに制作されたため織元では「オーナメント」と呼ばれている柄です。 3色のタテ糸を組み合わせ、1枚の中に華やかな彩りが表現されています。 見ているだけで心が浮き立つようなこちらの柄をきっかけに、久留米絣に親しんでいただけたら嬉しいです。
【絣の柄】07
蝶 三角と直線と点が二つ。最小限の要素で構成された抽象的な蝶の柄です。 すっきりシンプルな柄ですが、階段状に表現されるタテ絣の斜めの線に絣特有のわずかなずれが加わってあたたかみと愛らしさを感じさせます。
【絣の柄】06
網代(あじろ) 薄く削った竹を編んで作られた籠やざるの表面に現れる網代の模様を取り入れた柄です。一枚の布の中に竹ひごの重なりが巧妙に表され、驚くほどの立体感があります。 作り手の遊び心から生み出されたこの柄からは、久留米絣の表現に様々な可能性が潜んでいることを感じます。
【絣の柄】05
花(椿) 前回に引き続いて花柄のご紹介です。 生地の幅いっぱいに大胆に椿の花をあしらった大柄のデザインで、蕊(しべ)の黄色、花びらの赤、葉の緑が一際目をひきます。 この三色は、久留米絣産地では「つまみ染め」と呼ばれる捺染(なっせん)の技法によって染色されています。 「つまみ染め」とは、一度染めた糸にさらに部分的に差し色を入れる作業で、1箇所ずつ、職人の手仕事による糸染めが行われます。
【絣の柄】04
花 花柄は最も愛されているテキスタイルデザインと言ってもいいかもしれません。各国の生地に形も色も様々な花柄を見ることができます。 もちろん久留米絣でも花柄の生地がたくさん作られています。今回ご紹介するのは、格子模様と組み合わせられた幾何学的な配置の花柄。整然とした印象にも花びらの丸みで愛らしさが加わります。
【絣の柄】03
七宝 吉祥文様の一つ、七宝です。 円を重ねあわせていく幾何学文様は「円満」を表すと言われています。 同じサイズの円の中から幾つもの紋様がつながり、広がっていく、見飽きない柄です。
【絣の柄】02
鳥(ツバメ) 久留米絣は、暮らしに身近な生き物も文様として取り入れてきました。 のびやかに空を飛ぶツバメ。ランダムに入る斜線や散りばめられた丸模様が、ツバメの軽やかな動きや素早さを感じさせます。
【絣の柄】01
水玉/ドット 藍の地に整然と白の紋様が並びます。井上伝が考案した最初の柄の一つ、「霰文」から始まり、現代まで愛され続けてきました。 均等な文様の端にわずかに見られる絣足(タテヨコの糸のずれ)が、久留米絣らしさを感じさせます。ぜひ画像を拡大してみてください。 並びや玉の大きさが不規則なものや、カラフルなものなど、織元ごとに変わる表現もポイントです。